「困ったら福祉につながれ」と世間の人は簡単に言いますけど、つながるために、どんな情報が必要か、その情報は誰も知らないですよ。知っていたら福祉に携わっている人でしょう。
自分で役所に相談しに行って、実際に自分の状況を適切に伝えて、援助を勝ち取れる人なんてほんの一握りなんですよ。
衝動的にハローワーク行ってもダメ
お待たせいたしました。前回の交渉決裂のつづきです。
主治医の言葉に怒った自分に、「やってしまった。」という後悔。そして、「ならば、どうする?」という思いでいっぱいでした。
その日の晩、不安と焦りで、自分で求人情報を検索しました。
そして、これだという仕事先をみつけたのです。
今までの経験からして、良い案件はすぐ応募しないとなくなってしまうのが常識。
翌日には、さっそくハローワークへ行きました。
まず、障害者ですと伝えたとたん別の隅っこの窓口に通されました。どうやら障害者専門窓口というものがあるらしい。
希望する会社が、あります!
はやる気持ちはわかります。まずは、医師からの意見書という書類がなければ、ハローワークでは紹介できません。
医師の意見書?初めて聞く言葉です。
あなたが働いても大丈夫なのか、医師から○○だから、△△なら大丈夫です。と書かれた書類がないと、ハローワークとしても仕事を紹介できません。
知らなかったよ、そんなシステム。
確かに、勢いで働いても、体調悪化して辞めてしまったら元も子もありません
厚生労働省の調査によると、障害者の就労で一番離職率が高いのは、精神障害者だそうです。ストレスによって、寝ること、食べることができなくなると、病気が悪化してしまうからです。これは痛いほどわかりますね。
そのためには、主治医と相談して、働いても大丈夫なのか。働くとしたら、週にどれくらいの時間なら大丈夫なのかを、確認して話を進めるべきです。
ごもっともです。
働くには主治医と相談しよう
先生にできることなど、ありません!と、言い放ってしまったけど、
あるじゃないか、あるじゃないか。先生にできることがここにあるじゃないか。
なんで、こういう方法もあるよって教えてくれなかったのよ。
まったく身勝手な患者です。
でも、どの面下げてお願いしに行けばいいのか・・・・・
・・・思いつきました。病院の医療相談センターの人に頼めばいいんだ。そうすれば、直接先生と顔を合わさなくて済む。
思いつたら即行動、医療相談センターのスタッフから先生へ意見書の依頼をしてもらうことにしました。
数週間後、診察日はやってきました。
ところが、肝心の私自身が、ここまで一気に加速して行動したために、その反動でうつ状態におちてしまったのです。
全くやる気なし。うつのお友達である子泣き爺を抱えて、診察室に入りました。
最近の体調はどうですか?
なんだか、すべてがどうでもよくなってしまいました。
それは残念。せっかく意見書に書く内容を、あなたと話し合いながら決めていこうと思っていたのに。じゃあ、やめますか。
ちょ、ちょっと待ってください
ふむふむ、働くことができる時間かぁ。週5日で10時から15時までねぇ。これって、デイ・ケアと同じじゃないの?
そういわれてみると、そうですね。
デイ・ケアに通えていたのだから、これくらいなら大丈夫じゃないの?
そうですね。
やる気を無くしたわたしを、うまく手のひらで転がすように、主治医は誘導尋問して意見書の内容を決めてくれたのです。さすがプロ!
こうして医師からの意見書を持って、ふたたびハローワークへ行くことができました。
企業側と役所をつなぐ相談支援専門員って何者?
ハローワークからやっと紹介状を書いてもらって、希望する企業へ面接に行きました。
戸惑ったのが、採用までの流れが、一般雇用と障害者就労では違うところ。
ポイント
紹介状→書類選考→面接→合否 という流れではなく
紹介状→面接→体験実習→面接→書類選考→合否
履歴書を送る書類選考が先ではなく、流れの中では、一番最後です。その前に、体験実習というものをしてから、一連の流れに乗ることができます。
福祉施設だからでしょうか。やっていけそうかどうかを、お互い確認してから履歴書を送るのでした。
確かに合理的。
後日、めでたく採用の連絡がきました。
やったー!と喜んだものの、さっそくその出鼻をくじかれました。
ねこまんまさんに相談員さんってついていますか?
?
福祉施設を利用することになりますので、役所から“障害福祉サービス受給者証”というものを発行してもらわないといけないんですよ。
また知らないワードが登場。“医師の意見書”の次は、相談員?それと、“障害福祉サービス受給者証”?
どこに行けば、その相談員さんとやらに出会えるのでしょう。
※相談員さんとは、正式名称が相談支援専門員のことです。便宜上、一般に相談員さんと呼んでいるようです。介護では、ケアマネジャーをケアマネと呼んでいるのとおなじです。
キーマンは相談支援専門員
病院の医療相談員を頼るしかない。
そこなら、今までの経過をすべて知っているから話が早い。
病院から相談員さんを紹介してもらって、面会して、お願いすることにしました。
その人が、勤務先である福祉施設と市役所の間に立って、受給者証をもらうための手続きを全部行ってくれるのです。
受給者証をもらうために、役所の福祉課へ行って、面談もありました。
福祉課で受給者証を発行してもらうまで、約1か月。
相談員さんが、個別支援計画を作成して、やっと働くことができました。
他力本願で上等
仕事に就くのがゴールではなく、ここからがスタートなのはわかっています。
それでも、スタートラインに立つというステージまで、頑張った自分をほめてやりたいです。
もし、最初から相談員さんが付いていたら、もっとスムーズに事は運んだかもしれません。
就職までの流れを、障害をもった人が一人で行うのは無理です。
そもそも、障害者というのは、『日常生活を一人でおくるのが困難』だから障害者手帳を持っているのです。
サポートしてくれる人たちがいて、おかげ様で日常生活が送れます。
仏教用語でいう”他力本願”本来の意味の生き方で、上等なのです。